「あ、こんなとこにもホクロ見っけ」

    熱に浮かされながら、そんな台詞を言う石上に、随分と余裕ができたものだとつばめは感心する。そして、戸惑う。顔がぶわりと鳴るようだった。

    「っや、恥ずかし」
    「え、恥ずかしいんですか。俺嬉しいんですけど」
    「やめてー、やめ、っ」

    石上は、知らずに地雷を踏む男だ。今もつばめの身体にホクロを発見したからと、指先で感触を味わうように甘く触れている。

    「ゆー、くん、今は、……っダメ、だ、よぅ」

    されども今は、敏感になった身体同士で触れ合っている今は、多少の羞恥は別の物に変わるのだ。つばめは刺激に顔を横に揺らす。それを見た石上は覆い被さり指をスー…と滑らせた。

    「…ひゃ、あぁ…っ!………っゆうく、」
    「何でダメなの」
    「んンッ……いじわる」
    「ここにホクロあるの、可愛いすね」
    「、っあ、触らないで……ホントにあるの?そんな、とこ……」

    恥ずかしそうに顔に手を当てて目も合わさず言うつばめの姿。本当に知らなかったんだなと思った石上の喉が、ゴクリと鳴った。

    「ええ、ココに」

    石上の触れる身体が跳ねた。ダメダメと必死に言うつばめは、出会った頃の、天真爛漫に男を魅了していた先輩ではなかった。迷いながら悩みながら自分の目を真っ直ぐに見返してくれていた愛しい彼女だった。

    「つばめ先輩、名前、呼んでください」
    「は、……ゆーく、ん……アッ」
    「つばめ先輩…」

    目が合って、キスをして。

    「好きです」

    出会ってから何度も零れ落ちる石上の言葉を、つばめはまぁるい目で真正面から受け止めた。文化祭の時のように、仲直りの時のように。そして力の入らない両手で石上の顔を包み触れて、涙を溜めた。

    「私の方が、大好き」




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